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平成25年度 秋季都大会 準々決勝
vs. 日大三高

平成25年度 秋季都大会 準々決勝
2013年09月29日 13:30
at 日大鶴ケ丘グラウンド

1Q 2Q 3Q 4Q
都立西高 OWLS 6 0 0 7 13
日本大学第三高等学校 BLACK RESISTANCE 7 7 27 10 51

ゲームレポート

セレモニー

 平成25年度秋季大会、第4回戦。66thOWLSは、関東大会出場をかけて日本大学第三高等学校(三高)に挑戦する。  戦いの舞台は、日大鶴ヶ丘高校グラウンド。今年、人工芝に改装した日大鶴高グラウンドは、緑の芝がとても鮮やかで、西高のマルーンのヘルメットとのコントラストが美しい。セレモニー前の気温は25℃で、時折涼しげな風も吹く。空は高く、澄んでいる。  13:30の少し前、選手たちが50ヤードラインを中心に整列し、キャプテンの#72宮橋、バイスキャプテンの#77鈴木、#83大塚がセレモニーに向かう。整列する選手の顔は、関東大会をかけた大一番の前ということもあって、緊張感に満ちている。ただ、選手の顔にはどこか吹っ切れたような覚悟も見える。 対峙する三高は、ラインには超高校級の大柄な選手を、バックスには運動能力に優れたアスリートをそろえる強豪校で、西高の関東大会への挑戦を幾度となく阻んできた難敵である。真っ黒なユニフォームから、「黒い壁」とも呼ばれる。ただ、関東大会に行くためには、何としても三高を倒さなければならない。66thOWLSは、夏を通してずっと、三高を倒すための練習をしてきたのであるから、その取り組みのすべてをこのグラウンドで発揮してほしいものである。 そんな応援席の父母や同級生、OB、OGの思いとともに、試合前のハドルが始まる。#72宮橋の「俺たちは三高を倒す!」という声がグラウンドに響く。伝統の「Pride of Nishi!」の掛け声とともにハドルが解かれる。

第1クオーター

 コイントスで勝った三高がリターンを選択し、西高のキックで試合開始となる。#10加藤(哲)が蹴ったボールが高く宙を飛ぶ。このキックが距離を稼ぎ、三高のリターナーに十分な余裕を与えない。そこに#8立花が鋭いタックルを決める。三高陣26ヤード付近からの1stDown10。三高の最初の攻撃。三高は得意としている、レシーバーを左右に2人ずつ配置するスプレッド体型から、ショットガン体型にシフトチェンジする。トリッキーな体型変化を目にしても西高のディフェンス陣は落ち着いて対応をし、うまくアジャストすることに成功。三高は初めのプレーでパスを成功させるも、#31佐藤が冷静に対応し、ゲインを許さない。続く2ndDown9で三高はモーションから、これまた得意としているオプション攻撃を試みるも、#26菅原、#31佐藤の素早い反応の前にヤードを獲得できない。三高は初めの2プレーでシフトチェンジやモーションといった体型変化を絡めてくるも、西高の選手たちはとても落ち着いて対応し、いつも通りのプレーを見せる。観客席のOB、OGは今日の試合への期待を高める。そんな観客席の期待に応えるかのように、西高のビッグプレーがさく裂する。右オープンをついた三高のラン攻撃に、#44工藤がキーリードからの素早い反応を見せ、タックルを決める。この鋭いタックルで三高の選手がボールをファンブルし、転がったボールを#26菅原が見事リカバー!西高が有利なフィールドポジションで攻撃権を獲得する。歓喜する西高サイド!  ターンオーバーで攻撃権を得た西高の最初の攻撃は、三高陣32ヤード付近から。1stDownで西高は、QB#10加藤(哲)から#85村松へのショートパターンのパスを決まる。加藤が落ち着いたプレーでオフェンスを仕切る。2ndDown5で、#21陳がホールを探し、4ヤードのゲイン。続く3rdDownも陳がボールをキャリーし、ダウン更新に成功する。西高OL陣#77鈴木、#79木佐谷らの気持ちの入った好ブロックが目立ち、陳が余裕を持ってデイライトができている。  続いて、西高は三高陣18ヤードから1stDown。ここで一年生の快速RB#22村田がボールをキャリーし、6ヤードのゲインに成功。さらに2ndDownでは#21陳が、三高LBをジャンプでかわし、5ヤードのゲイン。西高は敵陣5ヤード付近から新たな攻撃権を得る。  続いて西高は二回のランで距離を詰めたのち、3rdDownで#21陳のランを囮に、#10加藤(哲)がオープンへラン!加藤が巧みなカットを見せ見事タッチダウン!トライフォーポイントのキックは失敗に終わるも西高6-三高0と西高が先制点を獲得。三高相手に先制をしたことでベンチ、観客席は大いに盛り上がる。ディフェンスが得たチャンスをオフェンスがものにしており、チームがうまく噛み合っていることが分かる。今日の試合への期待が大きく高まる西高サイド!  西高のキックで試合再開。このキックはやや短くなるも、#44工藤がうまくブロッカーをかわしてタックル。三高陣35ヤードからの三高の攻撃開始。1stDownはスプレッドフォーメーションからモーションを絡めてオプション攻撃。ピッチマンへの対応に遅れてしまうものの、#44工藤が追いつきタックル。2ndDownで三高はインサイドのランプレーを選択し、ダウン更新。ハーフライン付近からの1stDownで三高が一発を狙う。左にロールしたQBが振り返り、逆サイドで待つRBにスローバックのスクリーンパスを投じる。右サイドには選手が少なく、ヒヤリとする西高サイド。しかし、#44工藤が懸命なパシュートで追いつき、何とかタックルすることに成功する。  次の三高の攻撃でも#44工藤が思い切りの良いプレーでロスタックルを見せる。しかし、その後、三高のインサイドのランがきれいにホールを抜け、これがタッチダウンとなってしまう。三高はキックも決め、西高6-三高7と逆転されてしまう。  三高のキックで試合再開。次の西高の攻撃は、#21陳のランでゲインを試みるも、ハンドオフミスもあり、パントに追い込まれる。  ここで第1クォーターが終了。スコア的にも内容的にも十分に互角の内容。西高の選手は思い切りの良いプレーを見せている。特にディフェンスは雑誌「タッチダウン」で全国高校生ベスト100プレイヤーのトップボーイに選任された#44工藤が獅子奮迅の活躍を見せている。

第2クオーター

 三高が三高陣49ヤードから攻撃開始。最初のプレーに対して#72の主将宮橋が気迫のパスラッシュでQBにプレッシャーをかけ、パスミスを誘う。続く2ndDown、#77鈴木のパシュートで三高QBが投げ急ぎ再びパス失敗となる。続いて三高の反則があり、3rdDownLongとなる。三高がプレーアクションパスでダウン更新を狙うも#44工藤がロールするQBに素早いプレッシャーをかけ、QBサック!三高の攻撃をシャットダウンする。  三高のパントは、西高のプレッシャーを受け、あまり飛ばず、次の西高の攻撃は、西高陣46ヤード付近から1stDown。#22村田のランで2ヤードゲイン。次のプレーはパス失敗に終わる。そして3rdで#10加藤(哲)の球がやや浮き、いい位置にいた三高DBにインターセプトされてしまう。そこから、あわやタッチダウンというところまでリターンをされるも、Gの位置にいた#79木佐谷が必死のパシュートをみせ、ゴール前2ヤードのところでタックル。木佐谷の気持ちがこもった好プレーが見られた。同時に三高の反則もあり、次の三高の攻撃は、西高陣35ヤード付近から1stDown。  この攻撃に対しては、#88野城が、低く速いタックルを見せ、ゲインを許さない。また三高得意のオプションに対し#44工藤、#83大塚が素早いリアクションをして、QBにアタックしてピッチミスを誘発。三高の攻撃をまたも止める。西高の守備陣のリアクションの良さ、思い切りの良さが目立った。  続く西高の攻撃はシフトチェンジなどを織り交ぜつつパスを狙うもうまく決まらず、パントに終わる。パントカバーで、#44工藤がブロックを受けながらも片手だけでナイスなタックルを見せ、50ヤード付近から三高の1stDown。  三高の始めの攻撃はサイドライン際にふわりと浮かせるパス。これに対して西高DBがパスインターフェアーの反則を犯してしまう。これによりオートマチックファーストダウンとなり西高陣35ヤード付近から、三高が1stDownを獲得。次のプレーでは中のDL二枚がOLをひきつけ、#44のブリッツコースを開ける。このブリッツがうまく決まり、QBサック!盛り上がる西高サイド!その次のプレーもうまく止める。ここで審判が前半残り2分、ラスト2ミニッツの笛を吹く。  勝負どころの3rdDown5で、三高はRBをフラットゾーンに出すショートパスを選択。これに対して#31佐藤が懸命にパシュートをするも、惜しくもかわされてしまい、ロングゲインを許してしまう。続いて西高陣5ヤード付近からの攻撃。#44工藤、#72宮橋がプレッシャーをかけるが惜しくも届かず、パスが決まってしまいタッチダウン。6-14とリードを許してしまう。  前半最後の攻撃は、フィールドポジションが良くないこともあり、ランプレーで流して終了。  前半は要所でディフェンスが粘ることができ、一進一退の攻防が続く、白熱した展開であった。最後の大会ということもあり、特に三年生の熱いプレーが目立っている!

第3クオーター

 勝負を決める後半は、三高のキックにより試合開始。キックをキャッチした#31佐藤が10ヤード近くリターンし、西高陣20ヤード付近から西高の1stDown。8点差を追う西高は3プレー連続でパスを投じるもいずれもあとわずかのところで失敗。惜しくもダウン更新ならず。  続く三高の攻撃でボールをキャリーしたRBが空いたゾーンをつき、これが一発タッチダウンとなってしまう。これもあと一歩のところで追いつけなかった。  西高の反撃にしたい次の攻撃シリーズ、#31佐藤がいいリターンをみせ西高陣31ヤードから攻撃開始。#10加藤(哲)が落ち着いたポケットワークをみせ#24有馬へのパスを成功させるも次が続かず、ダウン更新ならず。  パント後の三高の攻撃では、ロングパスが決まってしまう。これを懸命に#24有馬が追いかけ、西高陣1ヤードのところで止める。有馬の諦めないパシュートに勇気づけられる西高ベンチ。しかし次の攻撃でタッチダウンを許してしまう。これで、6-28とさらにリードが広がる。  次の西高攻撃では#10加藤(哲)のパスがインターセプトされる。西高陣40ヤードからの攻撃で、三高オフェンスはパスを選択。これに対して#72宮橋、#69玉嶋が執念のラッシュをみせ、サック!次の2ndDownの攻撃もサイドライン際の奥パスに#26菅原がついていき、パスカットを決める。大事な3rdDown、西高は勝負をかけ、守護神#44工藤をブリッツさせる。しかし、三高はドロープレーを選択。ブリッツの工藤とすれ違い、これがタッチダウンとなってしまう。運悪く失点し、これで6-35となる。  三高の攻撃に対して、#72宮橋、#8立花、#83大塚、が懸命のプレーを見せるも、あと一歩が追いつかず、再びタッチダウンを取られ、6-41で第3クォーターが終了する。  西高の攻撃も#21陳が15ヤードのランを見せるなど、ポイントでヤードを稼ぐものの、あとが続かない。

第4クオーター

 西高の4thダウンギャンブルが失敗し、三高陣35ヤードからの攻撃、ここで三高のQBがスクランブルし、これがタッチダウンとなってしまう。48-6で三高のリード。  続く西高の攻撃は、自陣21ヤード付近から。まず#24有馬が左サイドを突き、これが10ヤードのゲイン!#77鈴木がいいブロックを見せる。さらに西高のオプション攻撃が三高の反則を誘い、西高陣42ヤードから1stDownを獲得。ここで#10加藤(哲)から#24有馬へのパスがヒットし、10ヤード近くのゲイン!西高がリズムを取り戻す。OL陣も懸命のブロックを見せる!さらに#26菅原へのパスや、#79木佐谷の良いトラップブロックによるランなどで敵陣30ヤードまで進行する!しかしこの後が続かず、惜しくも得点ならず。  次の三高の攻撃は西高陣深くまで進行されるも、#31佐藤、#83大塚などの執念のタックルでタッチダウンを許さない。フィールドゴールに抑えて、失点を3点に留める。これでスコアは西高6-三高51となる。試合時間は残り2分で、何とか一矢報いたい西高サイド。  続く西高の攻撃はパスが決まらず、攻守交代となる。しかし、次の三高の攻撃で西高ディフェンスにビッグプレーが飛び出す!#88野城がインターセプトし、そのまま約30ヤードのリターンに成功。三高陣35ヤードから試合時間残り50秒で西高が攻撃権を獲得する。 得点への期待が高まる西高の攻撃で、大外から中に入ってきた#24有馬へのパスがヒット。これがビッグゲインとなり敵陣5ヤードまで進行する。試合時間は残り32秒。1stDown to Goal残り5ヤード。初めのプレーはパス失敗に終わるも次の2ndDownでパスが決まり3ヤード程度のゲイン。3rdDownのパスは決まらず、4thDownを迎える。ギャンブルにでた西高はショートパスを選択。しかしレシーバーが空いておらず、万事休すかと思われたその時、#10加藤(哲)が、右サイドが空いていることに気づき、即座にスクランブル!これがタッチダウンとなる!盛り上がる西高観客席!最後のプレーはOLが執念のブロックを見せ、右サイドのラッシュを許さなかったことが大きかった! トライフォーポイントのキックも決め西高13-三高51となる。キック後、長い笛が吹き、ゲーム終了。西高はラストプレーでタッチダウンを取ってくれた! ファイナルスコアは西13-三高51で三高の勝利であった。しかし、西高の三年生は最後まで勝利を信じて全力でプレーをしていた。それがラストのタッチダウンドライブを生んだのであろう。 試合終了後のハドル、キャプテンの宮橋が「最後までしっかり声を出そう」とチームに呼びかけているのが印象的だった。整列時の選手の顔には涙が光っていたものの、最後まですべてを出し切った、清々しい表情も見えた。最後に礼をした観客席には、100名以上の保護者、同級生、OB、OGがおり、選手たちに盛大な拍手が送られた。 これで66thの秋大会は終了となったが、引退をした3年生は新たな目標に向かって努力を続けてほしい。また下級生は、今日の悔しさを忘れず、クリスマスボウル出場のための取り組みを続けて行ってほしい。

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